ダウンジャケットや中綿服が、蓬松素材で静止した空気を貯蔵することで、保温性を実現していることは周知の事実である。しかし、衣服内部に空気さえ貯蔵されていれば、必ず保温効果があるのだろうか?答えは、「必ずしもそうとは限らない!」。

空気は完全に静止している状態では、優れた保温材である。一方、動きのある状態では、最高の放熱材となる。例えば、夏の暑い日に扇風機をつけると、温度はすぐに下がる。
衣服の役割は人体の熱量の流出を減らし、それによって人体のエネルギーの有効時間を延長することだ。人体の熱管理には、対流、輻射、伝導、そして透湿という4つの熱損失の科学的メカニズムに効果的に対処する必要がある。
人類の暖房史を俯瞰すると:原始社会の茅葺き屋根や木の葉から、七千年前の人類が綿の栽培を始めた時代を経て、さらに第二次世界大戦後のダウンの保温性能の極致への発揮まで。残念ながら、科学技術がこれほど発展した今でも、冬服の保暖技術はほぼ停滞しており、その核心は依然として動物由来の毛やダウンといった天然素材に依存している。
なぜ化学繊維のわた状素材はダウンを完全に代替できないのか?
回答: 環境温度を0℃、人体発散熱量を35℃と仮定する。熱がわた状素材に貯蔵された空気を加熱し始めると、空気は熱運動・熱伝導・熱流失を起こす。
ダウンの多孔質構造、独特な形態、および板状構造は、空気を効果的に分割・固定し、高効率の静止空気層を形成することで熱運動を強制的に抑制する。一方、化学繊維わたも様々な方法で空気を曲げたり梳いたりして配列できるが、空気の分割・遮断能力はダウンに及ばず、空気の静止度と使用後の復元性が制限される。そのため、中綿服の保温性能は常にダウンに劣っている。
生活経験が証明しているように:寒さを感じた時に衣服をきつく締めることで、保温性が明らかに向上する。逆に、過度にゆったりした衣服を着用すると、身体との間に形成される空気層が保温性を損なう。したがって、空気の保温性は静止度によって決定され、静止度が高ければ高いほど、保暖性能は向上する。